2013/02/16

ピアニストに関する微視と虚視 2

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この人のロックが一番すき



うちの好きなピアニストについて、なんで好きなのか好き勝手書くコラム。最初に紹介するのは、Ben Foldsで。どんなプレイをするのかはまずこれを聞いてもらえれば一発でわかると思います。

Zak and Sara / Ben Folds



ああかっこいい。とんでもない。彼のピアノの魅力はいろいろあってなかなか言い尽くせぬのですが、卓越したテクニックと、歌心あふれる表情付け。そんでもって何より、「フィジカルなピアノを弾くこと」に尽きる。うん。

彼は9歳でピアノを初めて、ラジオから流れるビリー・ジョエルやエルトン・ジョンを耳コピして弾いたりしていて、要するに出自がクラシックじゃない。んで、高校に進学するとピアノ以外にもドラム、ベースもプレイするようになって、それぞれの楽器として複数のバンドを掛け持ちしていた。特にドラムについては高校卒業後、しばらく専業としてセッションドラマーを数年やって、ナッシュビルを拠点にいろんな場所と編成でギグっていたということで、ああなるほどだからこのプレイなんだなって伺える気がするわけです。

でもその後ドラマーとしては行き詰まり、ピアノのテクニックを磨き直すために引きこもり状態でメトロノームだけを友達に鬼練習をしたらしく、本人も「僕はどうかしてた」というような6ヶ月を過ごす。このとき24、5歳。で、その後、Ben Folds Fiveを結成し飛躍したってわけです。

One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces  / Ben Folds Five 



最初に貼ったソロスタイルはむしろ、バンドデビューの後の試みで、こちらの動画の方がキャリア初期の映像になるわけだけど、超フィジカルでロック。すべての楽器を自分が弾けるっていう土台と、盤石のテクニックがあってこそ、バンドという制約をこんなにも感じさせない自由な弾きっぷりに至れるんでしょう。個人的にはソロの彼の方が好きなんですけど、Ben Folds Fiveというバンドとしての”Bandしてる感"は、えも言われぬ無敵感があって、聞いててスカっとする。

Philosophy / Ben Folds Five 



反面、この曲のイントロ部のようなメロディアスな歌いもとってもすてきで、ここらへんにエルトンとかビリーとかの片鱗が見えます。非常に広範な音楽的な素養と土台がある上で、ピアノぶっ叩いてるから、ただひっちゃかめっちゃかしているわけではない、音の塊の熱量がすんごいんだと思う。



奏法としては主には、左手オクターブポジションをベースに、右手は3〜4声のコードバッキングから、オクターブオブリまで、何しろピアノを広く使う。実際やってみるとすぐわかるんですけど、普通に弾こうとするとむちゃくちゃ指と手首を消耗して、1曲持たないくらい。途中ほとんど立って弾いてるときがあるのだけど、どれだけ下半身主導で指まで体重をかけていて、お尻に寄っかかっていないかっていうことなんでしょう。運動神経で弾いてる印象が強い。彼のようには弾くには、まあ彼もやったというように怒濤のメトロノーム練による左右のパターン練習と、そのときに全身をいかに上手にしならせて使うかっていうことなんだろう。あとは、やっぱり弾きながら歌ってみるってことかな。歌わないと逆に弾けないピアノなんでしょう。以前、Zak and Saraのコピーをやったことがあったけど、その時もそんなことを感じた気がした。(まあ実際やってみると鬼難しくてできないんですけどねw)


うちは彼の自由さと力強さと、ビートの鋭さにあこがれてあこがれて。彼が「別にもっと自由に弾きたいように弾けばいいじゃん。まあそのためにはクソ上手くないと思い通りになんか弾けないんだけどな!」って教えてくれたようなもんだからねw

そんな、Ben Foldsさんでした。
未聴の人は下のアルバムから是非。

Ben Folds Live / Ben Folds

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