【RhienⅡ】
Andreas Gursky 1999
先週のある日のとくダネ!で報道されていた、世界最高額の写真。アンドレアス・グルスキー氏による、「RheinⅡ」という作品。ライン川をスティッチング技法 (複数に切り分けた写真をつなげ合わせて1枚画にする技法で、より高精細な画づくりを実現する)で波の山までキレイに合わせたっつー作品で、なんと、430万ドル(約3億3000万円)で、こないだクリスティーズで落札されたそうな。
グルスキー作品は、以前、伊藤直樹氏と幅允孝氏の対談「ホントーク」で伊藤さんがマイベスト5冊のひとつとして挙げていたのが、彼の写真集。ビル・マスゲーム・工場・駐車場・・・などなど、人工的幾何学的な風景を絶妙に空怖い角度で切り抜く、いわゆるコンセプトがすごいタイプの写真家の方で、なんともいえない人工物への畏怖みたいな念が去来したのを覚えてます。このライン川の写真も実は、犬の散歩をする人も、遠くに見える工場も、木々も、全てデジタル加工で消している。もはや写実というよりも、自らの審美眼・コンセプトをもって作り出された作品なわーけー。
まあもはや、3億が妥当かどうかの議論は、うちらにはできないんだろうね、だってこのほかに3億の価値があるものを何か知っているかっていうと知らないわけで、基準がないんだから。「自分だったら3億持ってたら買うかどうか」っていう基準は、「3億の価値がある」っていう議論とはホントは別だしね。
大事なのは、「自分が好きかどうか」を自分の中で感じることなんだろうな。
「好き」という感情は、とっても感性的で不確かで自分でもよくわからないもので、なのにそれに気づきにくいものであるね。「自分が好きなことなんて自分でわかってます!」っていうのは、きっと浅はかな認識やんね。だからこそ、いろんなものにぶつかって、他の人とか世の中の評価がどうとか関係なく、「自分が好きかどうか」を絶対評価することを積み重ねていって、「好きを濃く」していくのがいいんでしょね。
”好きを濃く” っていう、今年のテーマを図らずも思い出した、グルスキーさんの写真のニュースでした。やっぱり、とんがったものは自分の審美眼が揺さぶられて気持ちがいい。
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