2011/06/30

今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年6月

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今年の映画レビュー これまでのものはコチラ↓
今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年1月
今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年2月
今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年3月
今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年4月
今月の”観た!” ~年間100本切りへの道程~ 2011年5月

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今年が半分終わってしまった・・・ 早いですね。あっという間過ぎる。今月はなんだか仕事がお忙しい感じで、目指せ10本とかいいながら、結局、4本どまり。とほほ。今年の折り返しで、44/100! うーん。若干、ペースが間に合ってないですね。んまでも生活がトータルで充実していれば、それはそれでいいんだけどさ。


aginさんの本棚
2011年06月
アイテム数:4
許されざる者 [DVD]
クリント・イーストウッド
読了日:06月06日
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川の底からこんにちは [DVD]
石井裕也
読了日:06月20日
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(500)日のサマー [DVD]
マーク・ウェブ
読了日:06月25日
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4本しか見ていないということもあって、”ものすごく印象深い1本”みたいなものはなかったかなあ・・・ ”(500)日のサマー”とか、周りでかなり好きな人が多かったので期待してみたのですが、もどかしい感じで、身悶える感じでしたし笑 でもやはりプロモーションビデオ出身の監督さんだけあって、絵作りとか場面の転換とか、いちいちオシャレで、1秒1秒に対する神経の細やかさみたなものは感じ取れてよかったです。キレイな作品。

キレイという意味では”赤い風船/白い馬”もキレイで。ストーリーとか展開の巧みさとか、そういうものは一切ない、ほとんど無声映画だったんだけど、理屈じゃない画の美しさは印象的。フランス人っぽい、はらりとして映像でした。

一番、印象に残っているセリフは、”川の底からこんにちは”から。


私って、てか私たちって、ぶっちゃけ、なんつーか、
中の下なんですよね、ほんと、中の下。
だから、ダメなんですよ。そもそもがダメじゃないですか。
でもだから、ダメだからこそ頑張んないと、
頑張んないとどうしよもないじゃないですか。
だってもともとが中の下なんだから。だから、頑張りましょうよ。
木村佐和子(満島ひかり)


”頑張れないヤツはダメなヤツ”というのがおそらくスタンダードな”ダメ”の定義なんだけど、この開き直り感はすごい刺さったんですよね。自分を一度、”ダメ”って認めてなお、だからこそ頑張らないといけないと立ち上がるメンタル。ものすごい腹筋を感じます。上手に結果が出そうな見通しが立つもののみ頑張って、元々望み薄なことにトライしないって、一見スマートに見えて、実は新しいことを成し遂げたり人をハッピーにしたりって難しいんだなあきっと。佐和子のこの、一度死んでから立ち上がる根性は、見習います。今月イチのセリフでした。

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本当は、「127時間」とか「super8」とか、劇場作品も見たかったんですけど、本当に今月は時間がなくて無理でした・・・ 来月も忙しい一ヶ月になりそうで、あんまり映画とか観ている場合ではないかも知れないけど、そこは欲張っていきますいきます。


誰か、これは観ろ!っつーのあったら教えてくださいませ。

2011/06/29

全力疾走の必要

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今朝、久々に家から駅まで全力疾走というやつをしました。よりによってこんな暑い日に。汗だくになるわ、息あがるわ、途中でケータイおっことして角へこむわで、散々。

でも、久しぶりに全力疾走すると分かるんだけど、”全力”そのものが衰えている。あの、段々ギアを揚げてトップスピードに乗って、ちょっと本気出しちゃうよーって思って、それ以上行かない。身体の使い方が思い出せない。というか、バテてる。これはかなり由々しき問題である、と同時に、全力疾走は、全力疾走しないとどのくらい出来るかわからないわけです。

これは何事にもおそらく当てはまって、本気でやらないと、本気が分からなくなる。つまり実力の果てが近づいちゃうんだよねきっと。最大限のパフォーマンスは、結局日頃から出し続けてないと出したいときに出せないし、出せたとしてもその”最大限”はもう過去の最大限じゃない。だから何かって言うと、”本気”とかいって峻別している人ほど、実力の高が知れてるんだろうなと、自戒したわけです。

で、”本気”かどうかって言うのは全力疾走してみて分かるんだけど、「間に合うか間に合わないか分からない」からするわけだよね。もしかしたら遅刻するかも知れないから、出来うる限り最大のダッシュをするわけです。要するに、失敗するかも知れないことをやってないと、全力は出ないっていうのがもうひとつの気づき。「どの程度、力を入れれば(≒どの程度力を抜けば)、ロスなく完遂することができる」という目処が立つものに対して、人は全力疾走しない。


”Fail Harder”
Wieden + Kennedy 's motto 


そうそうまさにこれですね。失敗するなら派手に。当てに行かないってこと。全力疾走はたまにやると、如実に自分の実力が見えちゃうねっていう、寝坊の朝の気づきでしたん。しかし暑くて今日は一日中、ダッシュのせいもあって、気持ち悪くて死にそうでした・・・

2011/06/28

スポーツ観戦と茶道と、”身体共振”

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そういえばもう結構日が経ってしまったけど、久々にプロ野球を見に行ったんですね。ヤクルトvsロッテ@神宮球場。試合内容は引き締まった投手戦で、ヤクルト田中の満塁からの走者一掃タイムリー3ベースで勝負アリだったわけですが。

試合ももちろん楽しんで見たんだけど、個人的にはやっぱり、応援席が面白かった!僕もその昔、高校生のときは吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた身なので、野球部の応援とかして日に焼けまくってたこともあったんだけど、あの一体感はなんなんだろうね。スポーツ観戦に否定的な人は、「なんで他人のプレーであそこまで一喜一憂できるのか意味が分からない。だったら自分がやればいいじゃないか」という思いで冷ややかに見ている乱痴気騒ぎなのかも知れないけど、ふと思ったのは、観戦には観戦にしかない共振があるんじゃないかなってことでして。

人って、他人が自分と同じ身体の動きをしているだけで、共振感覚というか、共感したり親近感が沸いたりするらしく、”好かれたい相手と食事をしたら、水を飲むタイミングを合わせろ!”みたいな理論もまことしやかに存在している (ミラーリングというやつ)。まあそれだけ、身体行為が感情とダイレクトに紐づいていて、「この同じ動きをしているんだから、同じことを感じているハズ!」という無意識が働いて共振感覚に襲われるんでしょう。内田樹氏が、千宗屋著【茶】の中の対談で発言していたセリフがふと思い出されるけど。



ものすごくキレイにカラダを使っている人をそばで見ていると、
その体感に同期して、気持ちよくなるんです。
自分の中の体感密度も一緒に高まって、カラダの内側で何かイベントが起こる。
場を主催する力というか、私の身体のテンションの変化に合わせなさい、
体温の変化、呼吸の変化、細胞の動きの全てに反応しなさい、
というものすごい”指南力”が来たんです。
体感の指南力の凄まじく強い人に網をかけられ、
ひっぱられていかれるのって、とても気持ちいいものなんです。
 内田樹


これはあくまで、茶道での立ち振る舞いにおける所作の美しさの身体性についての供述だけど、でもなにか自分の身体の外にある他人の身体の所作・動作に強烈に身をゆだねて同期させることの気持ちよさはやっぱり共通して伺えること。

そう考えると、対象を客観的に見ながら、熱狂することだけに集中し、ポーズやフリを統一して思いっきり騒げる【観戦行為】っていうのは、身体性のカタルシスが非常に高いシチュエーションだと言えるね。そしてそれは、境遇とか条件が重なれば重なるほど、暗黙裡のうちに強くなる共感なんだろうね。面白いことに、アウェイのロッテ外野席の方が声もアクションも地鳴りもでかいんです。「アウェイだから盛り上げるぞ!」みたいな共通認識が、共振を増幅させているように思う。


とまあ、別に難しいことなんか考えなくても楽しい野球観戦なんだけど、身体性っていうことでブツブツ書いてみました。”スポーツの力”と、”スポーツ観戦の力”はもしかしたら、厳密には別のカタルシスを引っ張ってきてる気がしましたとさ。

2011/06/23

モノを作るということ・世に出るということ

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今日は1年がかりの仕事が世にお目見えした日でした。自分がやっている仕事は、モノを作るわけでもなく、困った人が目の前で救われるのを垣間見れるわけでもなく、なんとも不確かで、時として、「果たして自分は世の中に何をもたらせているのだろうか?」という虚無感に苛まれるようなもので。だからこそ、時間にして一瞬のことかもしれませんが、こうして自分が開発から協働した商品が世に出て行くのは、滅多にないことでもあり、それだけうれしいことでもあります。

あまり突っ込んだことは当然書けませんが、いろいろ大変でしたほんと。モノを1から作って、人の時間と労力とお金と、つまりもっと言ってしまえば人生を巻き込んで、売れる保障のどこにもないものを世の中に生み出す。それがどれだけハイプレッシャーで責任重大なことなのか。クライアントを目の当たりにしてそれは本当に思ったこと。

広告会社は所詮、第三者的な立場なのかも知れない。自ら設備投資をしてモノを作るわけでもなく、在庫リスクもなく、売れなかったら商品やサービスそのものが悪いんじゃない?とともすれば逃げれてしまう。でもだからこそ、今回の経験は本当に貴重でしたん。それに、個人的にはもう第三者的な責任の薄い広告屋さんは、いらなくなっていくと思う。本当に、成功も失敗も分かち合える存在にならないと。そのためには成功報酬型やブランド共同保有などの契約形態の進歩ももちろん必要かも知れないけど、その前にまずは、携わる自分の気構えがいかに、腹をくくれるか、なんだろうね。

自分たちの本質的提供価値は何なのか、常に自問自答しようというのは、昨年JAAA海外研修に行って、アメリカの広告業界を見て痛感したこと。マーケティング・マイオピア論といえばそれまでなんだけど、まずはやはり、信念・理念を持って仕事ができることこそ、一番すね。それがなくなっちゃったらこの業界やめますよ。


だらだらと書いてしまいましたが、そんなわけで商品発表の日でした。無事に出てよかったよかった♪


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Pentax Q



2011/06/21

服と身体のシンクロ率 ~TAGARUさんでオーダーシャツ発注~

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たびたび紹介している代官山のオーダースーツのお店【TAGARU】で、夏に合う涼やかなシャツを~と思ってオーダーしてきました先週末。今回はあんまり来るまでにイメージとか固めないで、生地見せてもらったときの直感で、そこから組み立てようかなあなんて思っていった訳です。

まず生地選び。
生地によって値段が違うのでそこは要チェックですが、
何しろ種類がたくさんあるので、直感が大事。
だだだーっと見て行って、何か引っかかったものをクリッピングして行きます。
今回は2着作ろうと思って、
一着は「サックスブルーの千鳥格子縫製」
もう一着は「白のストライプ縫製」で決定!

それから形を決めてまいります。
全体のシェイプ、襟型、袖口、ステッチの有無などなど。
オプションでは、ボタンの色、縫い糸の色、襟裏別布の有無など、
このオプション次第で出来栄えやオリジナル性は大きく変わります。
サックスブルーのほうは、ウィンザーカラーの表前立で胸ポケットは角落とし、
カフスリンクあり、ボタンはブルーで縫い糸ライトグレー。
ホワイトのほうは、レギュラーカラーの表前立で胸ポケットはラウンド、
カフスリンクあり、ボタンカラー・縫い糸ともにチャコールグレーで。


こんな感じで、完成を約一ヶ月待ちます!店主の山本さん(過去インタビューはコチラ)は決してレコメンドを押し付けず、かといって迷ったら的確に意見をくれる、”間”の達人なので今回もすんなり決まりました。きっといい感じになるね。オーダーの流れは詳しくはコチラを見てくれればいいかと思います。

この日はTAGARUも大繁盛で、一人で切り盛りする山本さんも大変そうでございました。女性のお客様も多くて、いい感じに客層広がっているように思います。飛び込みで行って他のお客様の応対中だと待ちになってしまうこともありますので、できたら事前にtwitterで、いつ伺いたいかリプライすると優先的に相談できるのでオススメです。

また近々、今度は清涼素材のスーツを作りに行きたいと思います。あんまりモタモタしてると、完成するころに夏終わっててもいやだしー。


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twitter : @TAGARU_sarugaku
〒150-0033東京都渋谷区猿楽町26-2sarugaku-e棟2F
TEL: 03-5428-6020
FAX: 03-5428-6070
営業時間11:00~20:00 定休日:水曜日
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オーダーのいいところは、やはり身体とひとつになれる感覚の高さ。シンクロ率といっても過言ではない(笑)その感覚は、オーダーを一回体験すると確実に体感できるし、非オーダーのシャツを着たときにいかにシンクロ率が低かったかも翻って認識できる。カラダが喜ぶ服をもっともっと普段から着て生きたいと思うし、それでこそ自分の内面が服に投影されるんだと思うわけです。気に入ってる服を着ている自分は、より好きでいられるし。

というわけで、行きつけの紹介でした。オススメ。

2011/06/20

日本の夏、ステテコの夏

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夏至も近づく6月下旬。蒸して蒸してしかも節電。ということで、快適に過ごすために最近買ったnew arrival ↓↓

2008年に創られたステテコブランド
昔ながらの「綿クレープ」(要するに、ちぢみ生地)を使用しているので、
通気性・速乾性に優れ、体の動きによくフィットする快適な着心地。
クレープ素材の心地よさと品位を保つために、
記事から縫製まで一貫して国内で生産中。
ズボン下としては年間を通して、
夏の蒸し暑い季節にはリラクシングウェアや
ナイトウェアとして、男女問わずに使えますのよ。


というわけで、ステテコ買いまして。パッケージもデザインもとてもかわいらしく作ってあって、買うのも履くのもまったく恥ずかしさはなし。なんせ買った場所はベルコモンズのCIBONEですし。


パッケージもリボンリングで書類風。
細かいとこまでデザインが入っているので、
後ろにちゃんとプロが入ってますねこれは・・

ウェブサイトもきれいにかわいく作ってあって、こういうの好きです(→コチラ) オンラインショップもちゃんとあるしね。でも結構売り切れちゃってます。日本の昔ながらの伝統文化や技能をデザインでまとって再生させるっていう手法自体はもうすっかりスタンダードなやり口かも知れませんが、節電要請の強いこの夏の波に上手く乗った感じはしますね。


まあ理屈はさておき、ホントに楽・・・ オススメですこれ。ええ買い物したわ~~

2011/06/17

作業興奮

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「アイデアの出し方」って永遠のテーマのひとつだとよく言われる。先天的な才能とも言われる。けどちょっと態度を変えるだけで、全然違ったりするんでしょね。



デザインユニット「TO-FU」が手がけたこの映像。クリエイティブに過ごす方法として、29の心がけを作品として仕上げた。

・ クリエイティブに過ごすための29の方法
1. リストを作る(Make Lists)
2. どこへ行くのにも、ノートを持ってでかける(Carry a Notebook Everywhere)
3. 枠組みにとらわれず、自由に何でも書いてみる(Try Free Writing)
4. パソコンから離れる(Get Away From The Computer)
5. 自分に否定的であることをやめる(Quit Beating Yourself Up )
6. 息抜きをする(Take Breaks)
7. シャワーを浴びながら歌を歌う(Sing In The Shower)
8. コーヒーを飲む(Drink Coffee)
9. 新しい音楽を聞く(Listen To New Music)
10. 何事にもオープンであるように努める(Be Open)
11. 自分の周りをクリエイティブ溢れる人で囲む(Surrpund Yourself With Creative People)
12. フィードバックを得る(Get Feedback)
13. コラボレーションする(Collaborate)
14. 諦めない(Don’t Give Up)
15. 訓練に訓練を重ねる(Practice,Practice,Practice)
16. 自らの過ちについて寛容になる(Allow Yourself To Make Mistake)
17. かつて訪ねたことのない新しい場所に足を運ぶ(Go Somewhere New)
18. 自らが恵まれていると思う点を数える(Count Your Blessings)
19. 十分な休息をとる(Get Lots Of Rest)
20. リスクをとる(Take Risks)
21. 規則を破る(Break The Rules)
22. 自らに強要しない(Don’t Force It)
23. 辞書の任意の1ページを読む(Read a Page Of The Dictionary)
24. 枠組みを作る(Create a Framework)
25. 誰かのために完ぺきであろうとすることを止める(Stop Trying To Be Someone Else’s Perfect)
26. アイディアが湧いたら、すぐに書き記す(Got an Idea? Write It Down)
27. 作業環境を掃除する(Clean Your Workspace)
28. 楽しむ(Have Fun)
29. 抱えた何かを終わらせる(Finish Something)



個人的に取り入れてみようと思ったのは、3.4.11.14.16.27.29かなあ。特に、27ねw 意識のあり方みたいな項目も多数入っていて、実際の行動と意識を分けてほしかったというのが正直思うこと。「具体的にどうアクションするか」と「そのアクションから、どんな視座や精神に近づけるか」で人のモチベーションって成り立ってると最近思うので。


「やる気があるから頑張れる」のではなく、「頑張ってるとやる気が出てくる」というほうが正しいという考え方として、”作業興奮”というコトバがある。やる気が出てくるのを待って着手するのではなくて、どんなにやる気がなくてもとりあえず手を動かしてやり始めると、作業自体がやる気を呼び起こすというやつ。なのでこの29箇条も、アクションにつながっているモノから取り入れてみたらいいと思う。赤字のナンバーのものがそれ。


このリストと少しリンクしてくるのだけど、個人的に自分が最近、意識して取り入れているのは、「身体を使う」ということかな。以前の記事にも書いたけど、【実際に行く・食べる・触る・嗅ぐ・やってみる】ということがいかに大事か、改めて強く感じるのよね。気づきも多いし、感情が大きく動くし、何よりも、楽しくやる気が出る。これこそ作業興奮ってやつなんだろうな。



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自分を変えるには、
生活する場所を変えるか、
時間配分を変えるか、
付き合う人を変えるしかない。
最も意味のないことは「決意を新たにすること」である。
大前研一
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まあそういうことなのかも知れない。精神論をこねくり回さないで、とにかく動く。実態を変える。速さを大事に週末もやりたいことやってきます。そんな夏至近づく6月。

2011/06/16

語彙数と心のヒダ

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ひょんなことから知った面白いサイト。【語彙数推定テスト】というやつで、NTTコミュニケーション科学基礎研究所が単語親密度(NTTデータベースシリーズ「日本語の語彙特性」第1巻・単語親密度 [天野,近藤 (1999) 三省堂])を利用して開発したテストで、特許とかも取っている。すぐに終わるというのでためしにやってみた。内容は以下の感じ。

サイトはこちら → 【語彙数推定テスト】

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Q.知っている単語をチェックしてください。


1.チャンピオン
2.祝日
3.爆発
4.ライン
5.さつま芋
6.毒ガス
7.枝豆
8.過ごす
9.朝風呂
10.そもそも
11.見極める
12.あべこべ
13.本題
14.エンゲル係数
15.泊り込む
16.預け入れる
17.言い直す
18.たしなみ
19.英文学
20.はまり役
21.ごろ合わせ
22.労力
23.忍ばせる
24.勃発
25.宿無し
26.目白押し
27.請負い
28.塗り箸
29.気丈さ
30.茶番
31.大腿骨
32.術中
33.泌尿器
34.血税
35.悶着
36.腰元
37.裾模様
38.旗竿
39.かんじき
40.百葉箱
41.迂曲
42.告諭
43.辻番
44.ライニング
45.輪タク
46.懸軍
47.陣鐘
48.泥
49.パララックス
50.頑冥不霊


==


後半の方はかなりカオスですね、全然わかんない。
で、50問答えるとそこから語彙数を推定してくれます。
自分の語彙数は推定で・・・53100語でした。
ちなみに、5,000~20,000語で小学生レベル
20,000~40,000語で中学生レベル
40,000~45,000語で高校生レベル
45,000~50,000語で大学生レベル
だそうです。。。
とりあえず、大学生は超えたようでよかった・・・笑


コトバとは定義であり、「そのもの」と「そのものでないもの」の境界線をあらわすものだと、社会人2年目くらいのときに受けたコンサルタントのロジカルシンキング研修で教わったのを思い出します。語彙が多い人ほど、物事の微妙な機微や差異を受信するだけの、心のヒダが細かいということでしょうね。


日本語は、とても細かく物事のニュアンスや部位を分けて表現する言語だってよく言われるし、「そんなコトバ使わないでしょ??」っていうようなものもたくさん。”生きていく上で知らなくても困らない”という理論はこのとき必ず持ち出される論法だけど、”知らなくても死なないけど、知っているほうがより多くのことに感動できる”ということで、語彙は大事にしたい。


でも、「使う言葉が回りくどいよね・・・」といわれるのは全く別の問題としてよくないので、気をつけます・・・

2011/06/15

ビヨンドザ常識

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陸上選手の為末大氏の発言をふとした本で読むことがあって、内容に納得すると同時に、この人はやっぱり、「本質的異端児」やなあと思ったので、ちょっと抜粋。


=====

固定観念に縛られることの怖さは、陸上の世界でもいえることです。
僕らの世界でも「スタートダッシュの姿勢はこうあるべき」といった教科書が存在するんですね。
でも前の時代に常識だったことが、次の時代に覆されるといったことは何回も起きています。
たとえば今は、「スタートの時には、前足と後ろ足の間隔はあけないほうがいい」とされていますが、
以前は「広げたほうがいい」というのが常識でした。
常識破りの方法で記録を作った選手が現れると、その選手の方法は新しい常識になる。
その繰り返しです。

(中略)
 
 本来は柔軟な思考の持ち主でも、少しでも情報を軽視したり、
先入観にとらわれたり、慢心した瞬間に、頭の堅い人物に変身します。
正しい方法を探り出すことは大切ですが、「これで間違いない」を思ったときから、
敗北は始まっている。
常に現実を見据え、考え続ける努力をしている人だけが、
柔軟な思考を持ち続けられる
~「文蔵」 2007年4月号 (PH文庫)~

=====

常識の外側に行くためには、常識を知らないといけない。ということで、非常識な人と、常識を超えられる人は違うわけだけど。ただ、常識を知った上でその外側にいくのは、相当タフな精神が必要なんだろうなあと、彼のこの発言を聞いていて思う。


為末選手は専属のコーチを持たず、練習方法や練習量、大会への出場計画をすべて自分で決めるという世界的にも珍しいアスリート。そんな彼だからこそ、常識や先入観にとらわれず、自分の頭を使って本質的にモノを考える訓練ができているんだろうね。

大事なのは、「本質力」なんだろね。”常識にとらわれないようにしよう!”と言っている時点でもう囚われている。問題はそこじゃなくて、「本当に大切なことは何か?」を自分の頭で考えて、心眼で見据えることでしょう。それは、日頃から”思考”しないと身につかないんやろな。

一個前のエントリーの「身体で思考する」ことも、それこそ自分で思考する最たる例だろうし。何でも答えが転がっているこの世の中で、あえてコーチをつけずに一人で考えつくす為末さん。本当に本質を見ようとしている人は、世の中的には異端になるのかもなあなんて、思ったり。

偏る勇気を大事に、吸収吸収!

2011/06/14

まずは自分の身体で感じること

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先週土曜日はフィールドワーク@代官山でした。30分くらいかかりはするものの、実は家から歩いていけちゃうこの街ですが、じっくり歩いてみると気づきがたくさん見つかる。ググると何でもわかるとか言われてもはや久しいわけだけど、やっぱり現地に行って身体で感じないとわからんこともあるよね。


結局気づきは、「どんなファクトに出会ったか」だけではなく、「そのファクトに出会ったとき、自分はどんな感情と一緒だったか」にこそ価値があるんだわ。そここそが【知る】と【気づく】の最大の違い。”気”が”つく”訳だから、よく考えてみれば字は意を表している。そして、「気」は脳だけでなく、身体全体でつかさどっているものだからこそ、実際に足を運んで、空気を感じて、においを嗅いで、触って、汗かいてっていうほうが、単純に情報量も多いし、引き起こされる感情も大きい。


ひとつ前の記事でメディアアーティストの千房けん輔氏の、「脳こそ身体であり、身体の行動とは思考そのものである」というニュアンスの発言を紹介したんですけど、まさにこういうことやなあと思います。


ちなみに皆さんは、代官山に行きますか?行く方も行かない方も、どんなイメージの街ですか?自分向けの街だと思いますか?どんなワクワクがありますか? ここらへんのことが目下の興味関心事。近々もっと突っ込んだフィールドワークもできたらなあと思っています。


近々このプロジェクトは具体とともにばーんとご紹介できると思いますので、乞うご期待・・・

2011/06/13

東京企画構想学舎 伊藤直樹学科 授業ログ No.06 千房けん輔氏 (2010/11/22)

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前回までのログ
  
東京企画構想学舎ログの第6回目。今回はメディアアーティストの千房けん輔氏が講師です。これまでの講師陣には主に、「依頼を受注する形での企画」について講義をしていただいたのに対し、千房さんは「自分のうちから企画を立ち上げる」ことの考え方や自分流の企画術について語っていただきました。授業の後半には、「計算の外側にある偶発性」を実際に実験を通じて体感でき、気づきの多い充実の2時間半でした。

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千房けん輔 (メディアアーティスト)
アートユニット「EXONEMO (エキソニモ http://exonemo.com/)」メンバー。
「株式会社 AAAAAAAAAA(エイテン http://aaaaaaaaaa.jp/)」COO
EXONEMO では赤岩やえと共に WEB 上の実験的アートプロジェクト、インスタレーション、
イベントプロデュース、ライブパフォーマンス等を行い、国内外の展覧会・イベントに多数参加。
2010 年より岸本高由と株式会社 AAAAAAAAAA & Co.(エイテン)を立ち上げ、
コミュニケーションを軸にした Web サービス/ソフトウェアを企画開発。
その他、個人名義で WEB とリアルな場所を絡めた
インタラクティブなキャンペーンの企画/テクニカルディレクション等を行う。
~~~

メディアアートとは?

「依頼を受けて応える仕事よりも、ゼロからアイデアを考えるスタイルが多いのでそういった視点で話します。」という切り出しから始まった今回のレクチャー。メディアアーティスト・千房けん輔さんの活動は大きく分けると、アート・広告・開発】の3つのジャンルにまたがっており、それぞれのフィールドで得たナレッジや人脈、新たなテクノロジーをシナジーさせながら、メディアを通じてそれまで人が体験したことのないような新しい企画を生み出している。

今年で活動14年目を迎えたアートユニットエキソニモ」では、webキャンペーンの企画、ディレクション、インスタレーション、ソフトウェア、ライブ、イベントなど多岐にわたって作品を発表し、【アルスエレクトロニカ】大賞をはじめ国内外で数々の受賞暦を誇っている。一方、株式会社AAAAAAAAAA【エイテン】では受託による仕事は一切せず、Webサービスとソフトウェアを自社開発しそれを売り込むという形で運営をしている。こちらでは主に、テクノロジストとして実験的な試みを中心に開発を行っている。

これらのバックボーンでの経験を活かした広告分野での作品も数多く世に発表しており、学科長である伊藤直樹氏との仕事も少なくない。まずは彼が実際に手がけた事例から、メディアアートとは何なのかを感覚的につかむところから授業がスタート。


Case1 【BIG SHADOW】
Xbox360ソフト[ブルードラゴン]のローンチキャンペーン。
「自分の影からドラゴンを召還して戦う」というゲームの基本コンセプトに対して、
渋谷道玄坂のビル壁面に巨大な影を投影するというインスタレーションを考案。
ドラゴンを投影するだけでなく、自分の影を巨大化させて写したり、
ドラゴンの動きを操作して自分と掛け合わせるなどの、
インタラクティブ性も実現。
本人いわく、「高性能プロジェクターが一番ネックだった」とのこと。
レンタル金額が非常に高価であったが、話題性の瞬間風速にかけ、
実施を三日間限定にしたうえで、事前に告知を十分に行った。
結果は、行列ができるほどの大盛況で、Web上でも大きな話題に。
千房さんは、最初のアイデア出しと、テクニカルなディレクションを担当。
広告プランナーの人はテクニカルが分からないことが多く、
そこを助ける、プランとテクニカルの橋渡しをしたという事例


Case2 【AKARIUM CALL】
表参道の欅並木で行ったイルミネーション企画
「イルミネーションが木に良くない!」ということで、行灯風のイルミネーションにした。
それだけでなく、専用番号にかけると15秒間だけ全てのイルミネーションを独占して
声の大きさに呼応して明るさが変わるインタラクティブなギミックも仕込んだ。

照明のプロたちとのコラボで実現した企画だが、照明業界はとても封鎖的で徒弟制度で、
やりとりがとても大変だったと千房さん。
技術者にはあえて初めから技術サイドから話を進めた方が、
コンセプトや演出面、アウトプットから話すより理解が早いという発見があったという。
クライアントは表参道町内会的な団体の方々で、

安全性、ふさわしさ、金額など、いろいろな面でなかなかご理解いただけなかったが
粘り強い提案の繰り返しが結実した結果の企画。


Case3 【IS parade】
auのスマートフォン【IS】シリーズのプロモーション企画。
ケータイのコンセプトが『シェア』だったので、
シェアする楽しみを理屈を超えた表現で伝えたいと考え、
Twitterを使ったコンテンツを作った。
自分のアカウント名を入力するとフォロワー、キーワードでパレード作成が出来、
人によってBGMも変化して行く。
世界的に広がって、あらゆる国でプレイされた。
再生回数の2位がカーニバルの国・ブラジルだったなど、
ちゃんとお国柄が反映されていたこともプチ発見。
第14回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門大賞


「広告とアートは若干分けて考えている。」と千房さん。クライアントからの受託業務である以上はいただいた課題をクリアすることは必要最低条件であり、アートのエッセンスはその課題解決をよりよい形で実現するための手段になるということ。「アーティスティックかどうかというより、面白いかどうか。面白ければ結果的に多くの人に見てもらえ、結果広告としての役割をより果たしたことになる。決して自分がやりたいことをやっているだけではない」ということでした。続いては、「アート」「開発」分野での事例をひとつ。


Case4 【Fragmental storm】
キーワードからWebを検索し、見つかったページの画像とテキストを
リアルタイムコラージュするソフトウェア。
ロケーションシンク機能で現在地ともシンクロした画像を抽出したり、

iPodシンクロで再生中のアーティスト名で抽出し、勝手PVジェネレーターにも。


ゼロからのアイデア

「アイデアには
0からのアイデア”1からのアイデア”がある。」と千房さんは言う。「他人から課題が与えられそれに対して応える」のが”1からのアイデア”であり、紹介した事例の前半はすべてそれにあたる。その際の”課題”とはつまり、現状に対する問題点であり、問題を解決するための着想が【アイデア】というわけ。

では0からのアイデア”とはどういう状況なのか?それは”1”にあたる課題を、他者からもらうのではなく、自分で作ることであると。アイデアとはすべからく何らかの現状の課題に対して、その状況を好転させるために考えられるものであり、課題がないところにアイデアは存在しないと千房さんは整理している。
つまり、「ゼロからのアイデア」を考える上での第一歩は、自分で問題を見つけること、そしてそこから課題を設定することになる。自分が問題だと思うこと、感じることを、普段の生活、社会の中からいかに気づくことが出来るか。誰かからお題をいただくのではなく、自分で社会や人々に内在する課題を拾えるかこそがすべてになるということ。

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「不満だから音を鳴らす。問題は不満と言い換えられる。出発点は、ネガティブなパワー。問題がないなら、幸せなわけで、アイデアを無理に求める必要がない。不幸だからアイデアが必要。もしかしたら問題に気づいていないだけかもしれないけど。」
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自分から出す。そのために、自分自身を客観的に観て、無意識の反応を感じる訓練をしていくといいと千房さんは語った。人間はかなり敏感に周囲の環境や状況に無意識に反応していて、それに気づけるかどうかに人との差があるのだと。自分の感性をセンサーだと感じてみて、ある特定の物質や現象を感知する装置のごとく、客観性を持って自分を見てみる第三の目が課題を炙りだすと。

一方で、センサーが取りこぼしたもの=ノイズを感じることも大事だと。たとえば、
「この絵全然好きじゃないんだけど、なんか気になる。」
「こないだ発表すごくうまく行ったんだけど、なんか引っかかってる。」
などの、いわゆる、ざわざわする感覚普段は無視してしまう自分の無意識のノイズに、まだ発見されていない価値を発見できることは非常に多いと千房さんは言う。無意識を見つめることを訓練してみようというアドバイスが、個人的には発見の一言だったかな。

実験精神を大事に

「自分の感覚を信じる」ために、「自分を疑う→センサーを疑う」ことでより自分の中の審美眼を信じられるようになっていく。自分の能力は限定的で、自分が思っていること、意識、理性を疑わしいのだと思えれば、より自分の内なるセンサーに鋭敏になれると千房さんは言う。その上で、考えるのは頭だけじゃないとも。
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「脳は体であり、外界であり、世界である。全ては脳がセンサリングしたもの。つまり、行動すらも思考そのもの考えてから実行するのではなく、実行すること自体も思考の一部であり、行動からフィードバックを繰り返すことが咀嚼だと思う。ゆえに今の自分と明日の自分は、別人なんじゃないかな。」
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安定化しない。自分を定義しない。とらわれない。浮遊させる。行ったことのない場所にいく。不安の渦中を楽しむ。それらの行動を意識的に、実験的に自分の身体であり脳に与えていくことによってしか、センサーの感度がよくなっていかないということで。
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「重要なことは、とにかく実行することそして結果に対して、センシングすること。それを繰り返すこと。周りの評価とは関係ないところで、自分のココロの引っかかりを無視しないように感じよう。それを繰り返していけば、”ゼロからのアイデア”が生まれる土壌が脳に出来ていく。」
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では、”1
からのアイデア”を成功させるためにはどのようなアティチュードが必要になってくるのか。千房さんは、「与えられた課題の中で、自分が感じられる問題を見つける。」ことで、自分が日ごろ抱いていた”ゼロからの課題意識と、ゼロからのアイデア”とシンクロさせるという。課題の中に時間をかけて没入し、自分の問題として解決を図ることで、アイデアの質が格段に上がる。千房さんは、2時間ブレスト(1時間でチャクラを開き、1時間でまとめる)をよく行っているそう。


カオスを愛する精神


授業の後半は、メディアアート実験を通じて、「計算の外側の偶発性」を皆で体感する企画になりました。行ったのは”リアルチャットルーレット実験”。事前に一人ずつに配った番号に基づいて、システムがランダムに2人を指名。指名された2人は仲が良かろうが悪かろうが話をしないといけない。ほかの参加者はケータイを介してその二人の会話に飽きてきたところで「飽きたボタン」を2人双方に押すことができ、計2回そのボタンを押されたほうはその場で終了。次に指名された番号の人間と交代になる。

誰といつ話すのか。ひとつ前の話題は何なのか。会場のウケ具合はどうなるのか。不確定な要素を、システム・ルールで強引にそこに成り立たせることによって、予想や計算の外側に行ってみようという実験。やってみると、偶然職場の最寄駅が一緒だということが判明したり、共通の知り合いが見つかったり、その人の新たな一面が発露したり。一方で、全く盛り上がらないペアの回も混ざっているわけです。実験の総括として千房さんは、
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「不安定な手探りの中から、未知の面白さが見つかる。うまくいかないかもしれないことを、どんどんやる。企画倒れや中断を怖がらないことも、訳の分からないくらい素晴らしくて新しいものを世に出す上で必要な勇気だと思う。もちろん、必要十分にリスクヘッジはした上で」
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もうひとつ、”継続すること”も新しい企画を世に生み出す上で必要な姿勢だと千房さんは言う。今回のチャットルーレット企画も、途中でグダグダになりかかった時間もあった中で、辛抱強く続けた上での発見も少なくなかった。ルールやシステムを少しずつ調整しながら、同じことを違う切り口で反復体験する。そこからなにかが見つかるし、その発見は他者がなかなかたどり着けないという意味でも価値が高いことが大きいとのこと。
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「うまくいくかいかないかがあるから面白い。うまくいくかどうか分からない緊張感自体を面白がっている節が自分にはある。絶対に失敗できないという”土台”の部分に加えて、どうなるか分からない”遊び”の部分を盛り込んで面白いものを作りたい。カオスを計算に織り込みたい。」
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講義から、考えたコト

飄々としながらも、どこか自信なさげに話す千房さん。彼の講義から感じたキーワードは【身体性】【カオスを設計する】【アイデアファーストの回路】の3つ。

【身体性】については、これまでの伊藤直樹学科のほかの講師陣と共通して企画に盛り込まれているように感じた。【Big Shadow】【アカリウム】【IS parade】などなど。リアルな自分の身体を直接触媒にするものはもちろん、バーチャル世界でもリアルでの身体性や、そこから立ち上がる感情を非常にうまく捉えた作品が多い。伊藤さんが集めた精鋭ということで当然フィルターがかかっているとはいえ、”人の気持ちを大きく動かす一流の企画者”といわれる人は、対象の身体に対して非常にデリケートに、かつ大胆に何らかのアプローチを必ずしているのではないかと思ったわけです。

【カオスを設計する】ことについては、ほかの講師陣にはあまりなかった視点ではないかと思います。「大きな設計図の枠組みの中に、どうなるか分からない余白をしのばせる」ということは、相手が人間である企画には全て共通していることだとは思いますが、問題はそれを、”極力抑制し、カオスを最低限にとどめる企画”と、”上手く転がすことによって設計者の想定を超えた効果や面白みに到達させる企画”は全く向いている方向が違うなあということ。千房さんの企画は、ある一定のアフォーダンスを含みながらも、その外側も併せて意識されたものが多く、自分自身が思いつくアイデアの範囲に対していい意味で客観的に、かつ過大に見積もることなく、他力本願な部分があり、そこが発見としては大きかった。

一番大きかった気づきは、【アイデアファーストの回路】。普段、クライアントからもらったオリエンに対して解決策を考えることがほとんどな自分にとって、受注ではなく「勝手に面白いものをまず作って、売り先をあとで考える」というアーティストとしての千房さんの構えはとても新鮮でした。伊藤さん初め講師陣全員が言っている、「企画をするうえでの信念」と近いのかも知れませんが、「相手に関係なく、自分はこれがやりたい・こうだったらもっといいと思う」という衝動をいかに持っていられるか。そしてその衝動を聞く、自分の内なるセンサーに自覚的にいられるか。千房さんのまるで仙人のような自己客観性は、”やりたいように好き勝手表現する”というようなアーティストのイメージとは対照的で、それがとても印象的でした。

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千房さんからの宿題は、以下。

AAAAAAAAAAが運営しているウェブサービス【IZONN】を使ってUSTREAM放送を次回授業でチームごとにすること!

IZONNとは、Ustreamのチャンネルに、投げ銭ができるというサービス。PayPalとUstreamを組み合わせたもので、ビューアー数ではなく、ゲット金額がリアルタイムで表示される。1チーム15分の放送時間で実際に放送を行い、獲得金額で企画のよしあしを評価しようという、超実践型の宿題です。とにかく何でもやってみて失敗から学びを得るという、千房さんらしい宿題。この宿題の模様は2回目の千房さん授業のログのときに書いてみようと思います。

次回は、フードディレクターの野村友里さんの授業ログをアップいたします。しばらくお待ちを・・・


(文・吉田将英)
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