2013/02/22

ピアニストに関する微視と虚視 3

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今までのピアノ微視虚視


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なんたって、音がイケメンなんだよねえ。 

前回のBen Foldsが幼いときに憧れ、ラジオを耳コピしたっていうのが、この御方、Billy Joel大先生です。うちも、POPミュージックの中で初めて、ピアノの音を独立して意識して、それをかっこいいと思ったのはこの人でした。確か親父が居間で流していたんだと思う。この人と、Sergio Mendes大先生のピアノが、うちのポップピアノの原点です。

もう結構なおじさまですが、若かりし日の彼のプレイをとりあえず貼ってみる。まずはうちも学生の時にコピーさせていただいたこの曲を。

My Life / Billy Joel

声もピアノも、圧倒的にイケメン。Ben Foldsとの最大の違いは、そこかなあw いや、冗談ではなしに、Billyさんのピアノは、弾けるように明るくて、よりポップで、キラキラしてる。鬼のようにモテそうなサウンドである。Ben Foldsのピアノの方がね、アングラっぽくてちょっとひねくれててうじうじしてて、怒りとかやるせなさとかが入ってるような。あ、あくまでもピアノの音色において、ですけどね。

実際のBillyさんの人生を追ってみると、男のくせにピアノかよ!とかいわれていじめられすぎるので自衛のためにボクシング習ったり、バンドが上手くいかなかったりプロデューサーに勝手に音源加工されたりで人間不信から鬱病になったりと、それなりに波瀾万丈なんですけど、それでも性善説なサウンドなイメージなんです。(Benさんは性悪説なにおいがしてそれが好きなんだけどねw) 具体的には、Billyはクラシックを通ってきているっていうところが、元ドラマーのBenとの最大の違いでしょう。ピアノをあくまでも鍵盤楽器として、流麗に操っていてそれはやはり、クラシックピアノ弾きだった父親から直伝されたものだと思う。

The Stranger / Billy Joel

この曲のイントロのサウンドなんかもものすごくクラシックっぽいんだよね。それに口笛を乗っけたり、ドラムインからの展開の変化とかが最高にポップでモテサウンドだけど。クラシックピアノを通らないでここまで来てしまったうちにしてみると一番、嫉妬するサウンドなわけです。今からでもやればいいっていえばそれまでなんだけどさ…

若かったこの映像の頃から、離婚は何度もするわバイク事故で左手首ぶっ壊すわアル中になるわ鬱病にもっかいなるわで、かなりツイてないBillyさんなんだけど、この人から感じるのは破天荒さではなく、ガラスのような繊細さなのかもしれないすね。残念ながら彼は今、既に半引退状態であまり音楽活動を表立ってやっていないのだけど、近影はこんな感じでした。2006年。

Piano man / Billy Joel

嗚呼まさにピアノマン。はげても太っても、汗だくになってピアノ弾きながらハープ吹いちゃうんだからズルい。えも言われぬこの美しく流れるサウンドを目指して、まずはアルペジオの特訓を、特に左手を重点的にやりましょうかね。鍵盤に向かって縦方向に加重をかけて”叩く”サウンドだけでなく、手首の旋回を使って手のひらを左右に傾ける力を使って上昇・下降音形を滑らかに”滑らす”サウンドも両立させるような、そんなイメージ。特に叩く方については、叩きつつも音に柔らかさが残るこの人のマジックタッチは、めっちゃ鍵盤に触って、体と指をコントロールしきらないと多分出来ない。なんて歌っているんだこの人のピアノは…


かっこよすぎて途方にくれさせてくれるBillyさんな訳でした。
未聴の方は、下のアルバムあたりから聞けば知ってる曲たくさんですよ。


Greatest Hits Volume 1 & Volume 2 / Billy Joel



2013/02/16

ピアニストに関する微視と虚視 2

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この人のロックが一番すき



うちの好きなピアニストについて、なんで好きなのか好き勝手書くコラム。最初に紹介するのは、Ben Foldsで。どんなプレイをするのかはまずこれを聞いてもらえれば一発でわかると思います。

Zak and Sara / Ben Folds



ああかっこいい。とんでもない。彼のピアノの魅力はいろいろあってなかなか言い尽くせぬのですが、卓越したテクニックと、歌心あふれる表情付け。そんでもって何より、「フィジカルなピアノを弾くこと」に尽きる。うん。

彼は9歳でピアノを初めて、ラジオから流れるビリー・ジョエルやエルトン・ジョンを耳コピして弾いたりしていて、要するに出自がクラシックじゃない。んで、高校に進学するとピアノ以外にもドラム、ベースもプレイするようになって、それぞれの楽器として複数のバンドを掛け持ちしていた。特にドラムについては高校卒業後、しばらく専業としてセッションドラマーを数年やって、ナッシュビルを拠点にいろんな場所と編成でギグっていたということで、ああなるほどだからこのプレイなんだなって伺える気がするわけです。

でもその後ドラマーとしては行き詰まり、ピアノのテクニックを磨き直すために引きこもり状態でメトロノームだけを友達に鬼練習をしたらしく、本人も「僕はどうかしてた」というような6ヶ月を過ごす。このとき24、5歳。で、その後、Ben Folds Fiveを結成し飛躍したってわけです。

One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces  / Ben Folds Five 



最初に貼ったソロスタイルはむしろ、バンドデビューの後の試みで、こちらの動画の方がキャリア初期の映像になるわけだけど、超フィジカルでロック。すべての楽器を自分が弾けるっていう土台と、盤石のテクニックがあってこそ、バンドという制約をこんなにも感じさせない自由な弾きっぷりに至れるんでしょう。個人的にはソロの彼の方が好きなんですけど、Ben Folds Fiveというバンドとしての”Bandしてる感"は、えも言われぬ無敵感があって、聞いててスカっとする。

Philosophy / Ben Folds Five 



反面、この曲のイントロ部のようなメロディアスな歌いもとってもすてきで、ここらへんにエルトンとかビリーとかの片鱗が見えます。非常に広範な音楽的な素養と土台がある上で、ピアノぶっ叩いてるから、ただひっちゃかめっちゃかしているわけではない、音の塊の熱量がすんごいんだと思う。



奏法としては主には、左手オクターブポジションをベースに、右手は3〜4声のコードバッキングから、オクターブオブリまで、何しろピアノを広く使う。実際やってみるとすぐわかるんですけど、普通に弾こうとするとむちゃくちゃ指と手首を消耗して、1曲持たないくらい。途中ほとんど立って弾いてるときがあるのだけど、どれだけ下半身主導で指まで体重をかけていて、お尻に寄っかかっていないかっていうことなんでしょう。運動神経で弾いてる印象が強い。彼のようには弾くには、まあ彼もやったというように怒濤のメトロノーム練による左右のパターン練習と、そのときに全身をいかに上手にしならせて使うかっていうことなんだろう。あとは、やっぱり弾きながら歌ってみるってことかな。歌わないと逆に弾けないピアノなんでしょう。以前、Zak and Saraのコピーをやったことがあったけど、その時もそんなことを感じた気がした。(まあ実際やってみると鬼難しくてできないんですけどねw)


うちは彼の自由さと力強さと、ビートの鋭さにあこがれてあこがれて。彼が「別にもっと自由に弾きたいように弾けばいいじゃん。まあそのためにはクソ上手くないと思い通りになんか弾けないんだけどな!」って教えてくれたようなもんだからねw

そんな、Ben Foldsさんでした。
未聴の人は下のアルバムから是非。

Ben Folds Live / Ben Folds

2013/02/11

ピアニストに関する微視と虚視 1

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よく見ろーよく見るんだ!

社会人になってから音楽に対して、学生のときよりもよくも悪くも、ざっくりとした構えになったと思う。細かい指の使い方とか音の運び方とかではなくて、アウトプットされるバンド全体の出音が、イケてるかどうかを、なるべく右脳で捉える。まあこう書くと難しいですが要するに「何も考えずに、好きか嫌いかで聴く」っていう、普通の耳で聞くことが多くなったんですね。(その結果、テクニックをひけらかすような音楽は聞けなくなり、フュージョンも聞いてて疲れちゃうようになった…w)

ただ最近、今一度「鍵盤楽器を弾く」ということを寄りの目線でしっかり捉え直したいと思うようになって。どう弾くとどう音が出るのか。もっとプレイから出音を考えるように。そういう風に考えて、もっと『キーボーディストのプレイ自体』を微視しようと。プレイヤーの耳を復活させようってことです。ざっくり聴く「虚視」を持って、今一度微視することでわかることがおおい気がします。

で、手始めに、「こうなりたい・こう弾きたい」を思うプレイリストを作ってみました。プレイをより微視するという意味で、楽器で分けて捉える必要があるので、まずは「ピアノ」のリストから。

1.   Stitched Up / John Mayer
2.   Wild Honey / Dr. John
3.   Zak And Sara / Ben Folds
4.   Fever / Joe Sample
5.   秘密 / 東京事変
6.   ラーメンたべたい / 矢野顕子
7.   If I Ain't Got You / Alicia Keys
8.   My Life / Billy Joel
9.   I Love Being Here With You / Diana Krall
10. Everything / MISIA
11. これからむかえにいくよ / スガシカオ
12. Mais Que Nada / Sergio Mendes
13. LET LOVE LEAD ME / 佐藤竹善
14. Signed,Sealed,I'm Yours / Stuff
15. Chloe Meets Gershwin / Michel Petrucciani
16. Pra Voce / Michel Camilo
17. The "IN" Crowd / Ramsey Lewis Trio
18. Bring On The Night / Sting
19. はなればなれ / クラムボン
20. 丸の内サディスティック / 椎名林檎
21. Tombo In 7/4 / Michel Camilo
22. You've Got A Friend / Carole King 
23. These Are The Days / Jamie Cullum

うーん、ここにあるエッセンスが欲しい!と思う完全に独断による選出で、かなりピアノの出音にフォーカスされてます。ここにいるピアノレジェンドたちを整理すると…

Herbie Hancock
Dr.John 
Ben Folds
Joe Sample
伊澤一葉
矢野顕子
Alicia Keys
Billy Joel
Diana Krall
重実徹
森俊之
Sergio Mendes
塩谷哲
Richard Tee
Michel Petrucciani
Michel Camilo
Ramsey Lewis
Kenneth Kirkland
原田郁子
Carole King 
Jamie Cullum


ハービーやジョーサンプルの脱力感とスピードが欲しい。伊澤さんや重実さんのようなバンドをつなぎ合わせる包容力が欲しい。セルジオメンデスやラムゼイルイスの洒脱さが欲しい。リチャードティーやペトルチアーニの駆動力が欲しい。ジェイミーカラムやドクタージョンのような自由が欲しい。ベンフォールズやカミロのような熱量が欲しい。アリシアやビリージョエルや矢野顕子、キャロルキングのような歌心が欲しい…

くそう、みんなかっこ良すぎる。



今日から毎週一回、ピアニストに関するアナリーゼをしていこうと思います。どう弾いたらあーなるのか。なにをエッセンスとしていただけるのか。はてさて、自分はどこまでいけるのか… 

やっぱり、虚視も大事だけど、微視は楽しい。練習しよう。練習練習…

2013/02/01

ハッピーの総量を増やしたい

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わけあって、湯島天神に初めていって。うちは愚にもつかない勉強の末、ラッキーで中〜大一貫校に入ってしまったため、大学受験にまつわる悲喜こもごもを知らないわけだけど。こうして、絵馬を見ていると、人の願いとか望みとかって、理由もなくなんだか、美しくて、すてきだなあとふと思って、幸せになった。もちろん、”叶わない夢は絶望”なんて言葉もあるし、実際そのときの苦しみは尋常ならざるものなんだろうと、受験やった事ないくせに想像だけはしてみるのだけど、それでも、叶わなくても、人が夢を望むことって、なんかいいんですよ。いいなあと思ったのです。ものすごく。


2月になったら、転職して2年目が始まります。1年目はほんと、いろいろな変化や激動に「巻き込まれながら巻き返す」ことだけを、合気道することだけを大事に大事に、すべてを受け入れて、そして期待の倍にして返せるように這ってきたけど。明日からは、さてさて、こちらから仕掛けさせていただきます。さんざん悩んだ末に選んだ今の環境。いろんな人がいろんな事をいう環境かも知れませんが、まあ、あんまりそういうのはどうでもよくて。ただ自分がやりたいことは、ちょっとでも、自分が働く事によって、人の望みとか願いとか、ハッピーの総量を増やしたいし、叶えたいだけで。いやこれきれいごととかいうかも知れないけど、うちに言わせればね、これくらい思わないと、自分が今従事している仕事って楽しめないんだと思うよ。それがなければ、よその会社にいってるって。


すてきな企画を一つでも多く、世の中に届けられるように、
明日からは、勝負の年です。その瞬間瞬間の、その気持ちと身体を大事に、
楽しいことができたら、いいよなあ。
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